アルツハイマー病は減少する
2005年3月14日 医療の問題『--アルツハイマー病早期発見 磁気画像診断に新技術 --
脳に蓄積しアルツハイマー病を引き起こすアミロイドという物質に結合する化合物を理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)と同仁化学研究所(熊本県益城町)のチームが開発、13日付の米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。
化合物が結合したアミロイドは磁気共鳴画像装置(MRI)で簡単に識別できるため、現在の技術では難しい発症前の診断が可能になるという。開発したのはアミロイドに結合しやすいスチリルベンゼンに、MRIで検知しやすいフッ素を結合させた化合物で、FSBと名付けた。アミロイドはタンパク質の構造が壊れ、凝集した繊維状物質。アミロイドが脳に蓄積するマウスを遺伝子操作で作り、微量のFSBを静脈注射すると、脳内でアミロイドが集まった部分をMRI画像上で識別できることが分かった。
アミロイドがたまると、大脳に染みのような老人斑ができる。アルツハイマー病の症状が出るのは老人斑が脳の断面画像の10-30%になった段階。マウスでは老人斑が2%程度を占めた段階で、MRIで検知できた。
理研の西道隆臣(さいどう・たかおみ)チームリーダーは「早期に蓄積が分かれば神経細胞が損傷する前に、開発が進んでいる薬でアミロイドを減らすことが期待できる。患者数を10分の1にできるのではないか」と話している。』
痴呆には血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆があるのだが,決定的な鑑別診断法は脳組織を採取してアミロイド沈着を組織学的に証明するしかなかった.特に高齢者では脳血管性かアルツハイマーかの鑑別は難しかった.にもかかわらず最近ではアルツハイマー病と診断されてくる高齢者が外来でよくみられるようになった.
中には多発性脳梗塞でどうみても血管性痴呆としか思えない患者さんまでアルツハイマー病という診断名がついていたりする.ここ数年でアルツハイマー病という病気はすっかり有名になったこともあるのだろうが,本当にアルツハイマー病の患者さんは増えているのだろうか?
アルツハイマー病の初期に病気の進行を抑えると言われているアリセプトという薬が発売されてからアルツハイマー病の患者さんが急に増えたような気がしているのは私だけだろうか.痴呆が進行してしまったアルツハイマーより血管性痴呆の可能性が高い患者さんにアリセプトが投与されているのをみると昔の脳賦活剤といわれた一連の薬を思い出す.これら脳賦活剤は効果がなくて今では市場から姿を消したが,脳出血や脳梗塞の後遺症の患者さんに1つや2つは必ず処方されていたものだ.
脳内でアミロイドが集まった部分をMRI画像上で識別できるようになれば血管性痴呆とアルツハイマー病は容易に鑑別できるようになるのだろう.その結果アルツハイマー病という診断名のつく患者数は激減するのだろうか.予想以上に減少するとすればその理由が興味深いところである.
脳に蓄積しアルツハイマー病を引き起こすアミロイドという物質に結合する化合物を理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)と同仁化学研究所(熊本県益城町)のチームが開発、13日付の米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。
化合物が結合したアミロイドは磁気共鳴画像装置(MRI)で簡単に識別できるため、現在の技術では難しい発症前の診断が可能になるという。開発したのはアミロイドに結合しやすいスチリルベンゼンに、MRIで検知しやすいフッ素を結合させた化合物で、FSBと名付けた。アミロイドはタンパク質の構造が壊れ、凝集した繊維状物質。アミロイドが脳に蓄積するマウスを遺伝子操作で作り、微量のFSBを静脈注射すると、脳内でアミロイドが集まった部分をMRI画像上で識別できることが分かった。
アミロイドがたまると、大脳に染みのような老人斑ができる。アルツハイマー病の症状が出るのは老人斑が脳の断面画像の10-30%になった段階。マウスでは老人斑が2%程度を占めた段階で、MRIで検知できた。
理研の西道隆臣(さいどう・たかおみ)チームリーダーは「早期に蓄積が分かれば神経細胞が損傷する前に、開発が進んでいる薬でアミロイドを減らすことが期待できる。患者数を10分の1にできるのではないか」と話している。』
痴呆には血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆があるのだが,決定的な鑑別診断法は脳組織を採取してアミロイド沈着を組織学的に証明するしかなかった.特に高齢者では脳血管性かアルツハイマーかの鑑別は難しかった.にもかかわらず最近ではアルツハイマー病と診断されてくる高齢者が外来でよくみられるようになった.
中には多発性脳梗塞でどうみても血管性痴呆としか思えない患者さんまでアルツハイマー病という診断名がついていたりする.ここ数年でアルツハイマー病という病気はすっかり有名になったこともあるのだろうが,本当にアルツハイマー病の患者さんは増えているのだろうか?
アルツハイマー病の初期に病気の進行を抑えると言われているアリセプトという薬が発売されてからアルツハイマー病の患者さんが急に増えたような気がしているのは私だけだろうか.痴呆が進行してしまったアルツハイマーより血管性痴呆の可能性が高い患者さんにアリセプトが投与されているのをみると昔の脳賦活剤といわれた一連の薬を思い出す.これら脳賦活剤は効果がなくて今では市場から姿を消したが,脳出血や脳梗塞の後遺症の患者さんに1つや2つは必ず処方されていたものだ.
脳内でアミロイドが集まった部分をMRI画像上で識別できるようになれば血管性痴呆とアルツハイマー病は容易に鑑別できるようになるのだろう.その結果アルツハイマー病という診断名のつく患者数は激減するのだろうか.予想以上に減少するとすればその理由が興味深いところである.
コメント