『--日赤に4000万円賠償命令 「死の危険、説明怠る」--
 水戸赤十字病院(水戸市)で脳動脈瘤(りゅう)の手術を受け死亡した茨城県の男性=当時(65)=の遺族4人が、手術の危険性について適切な事前説明がなく、措置にもミスがあったとして、日赤に約5700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁は23日、約4000万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1992年3月、脳動脈瘤の破裂を予防するため手術を受けたが、脳内出血したため再手術。しかし、意識が回復せず死亡した。判決理由で仙波英躬(せんば・ひでみ)裁判長は「男性や原告側が死亡の危険性を正確に理解した上で、手術を承諾したと認めるのは困難」と指摘。理解できる程度の説明を怠った担当医の過失を認定した。

 また「2回目の手術後、男性の瞳孔に異常が判明した時点で、3回目の手術をする義務があったのに怠った」と判断。医師の過失と男性の死亡との因果関係を認めた。男性の長男(53)は閉廷後「判決に満足している。病院は患者に説明をしっかりやってほしい」と話した。被告代理人は「判決に納得していないので控訴を検討中」としている。』

未破裂脳動脈瘤が発見後の1年間に破裂するリスクは多く見積もっても2%ということは脳神経外科専門医ならほとんどが同意するだろうし実際はそれ以下だと思っている医師が多いだろう.

では,未破裂脳動脈瘤の手術のリスクが1%以下だと信じている医師はどれくらいいるだろうか.私自身の数少ない経験では幸い未破裂脳動脈瘤の手術で亡くなった例も社会復帰できなかった例もないが,他の施設も含めいったいどれくらいの確率で重度の障害や死亡例が起きているのかは知る由もない.

大衆雑誌をながめると動脈瘤の名医などというのが書いてあるが,考えるにたくさんやっていればそれなりに結果の良くない例が必ずあるはずで,それさえも公表されないのでいったいどのくらいのリスクがあるのかは本当のところ私もわからないのだ.

非常にあいまいで説明に苦労するので私は1%くらいのリスクがあって命にかかわる場合もあるとは説明している.だが命にかかわる場合が0.5%程もあったら未破裂動脈瘤の手術の妥当性が無くなるのではないかと危惧しながら説明しているのが本当のところである.

脳神経外科学会がこのような脳神経外科手術の結果に関する統計をとったという話は聞いたことがないが,術者による差が大きいとはいえ患者さんの手術を受けるかどうかの判断の参考になる基本的な統計データくらいは把握して情報を一般に開示しておく必要があるのではと思うのだがどうだろうか.

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索