『--「生」か「死」か論議再び 米女性の安楽死問題--

米フロリダ州高裁は22日、約15年にわたり植物状態が続いている同州の女性テリ・シャイボさん(41)の栄養補給装置を取り外し安楽死させることを求めた夫の主張を認め、同日午後以降の取り外しを認める決定をした。
 これに対し、安楽死に反対しているテリさんの両親は「保護者」としての夫の適格性などを問題として取り外し差し止めを州地裁に申し立て、23日夕までの差し止めが認められた。
 地裁の審理は同日午後開かれる予定で、夫と両親の安楽死論争が司法の場で本格的に再燃することになった。
 テリさんの補給装置は安楽死を認めた州高裁の判断を基に2003年10月いったん外されたが、ブッシュ州知事が安楽死中止を命令。米連邦最高裁はことし1月に命令を違憲とするなど、テリさんの「生死」は米国で安楽死問題の象徴的存在となっている。』

『--「今国会での提出目指す」 尊厳死法議連が正式発足へ--

 超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」の世話人会が23日開かれ、近く正式に議連を発足させることを決めた。会長に選出された中山太郎元外相は終了後、「今国会での法案提出を目指しているが、日本医師会や関連学会の意見も聞きたい」と述べた。
 尊厳死は、患者が自らの意思で延命治療を中止し、人工呼吸器などを用いない自然な状態で死を迎えるもの。
 議員立法での法制化を目指す世話人会のメンバーは自民、民主両党の議員18人。中山会長らは日本尊厳死協会が作成した要綱案を基に、法案骨子の作成を進めている。
 この日の会合では、尊厳死の権利を患者に認めた場合、医師が従わなければならないかや、患者の意思表示がない時に家族が代行できるか、などの問題点があることが報告された。
 尊厳死協会はこれまでに約13万8000人分の署名を集めており、法制化を求める請願書を提出する予定だ。』

 患者さんが植物状態つまり遷延性意識障害や痴呆で意思決定ができない場合に誰が尊厳死を決定できるのかというところが問題ということだろう.だが,それ以前に医療の現場では誰が延命処置を決定するのかも問題である.

 医師は倫理観から患者の生命を維持する処置を常に選択するわけであり,そのために人工呼吸器を装着したり中心静脈栄養や経管栄養を開始したりしているわけで,これらを開始するときに本人の意思確認をしたりすることは通常は無いし状態が悪くてできないことが多い.そうして結果として意識が戻らないと植物状態ということになってしまうわけである.

 植物状態とは呼吸,栄養,清潔,体位交換などの条件が処置によって満たされれば生存できる状態ともいえるだろう.本人の植物状態を望まないとの意思表示を事前に確認できていれば人工呼吸や栄養を中止することに同意できる場合は多いだろう.

 だが,現在すでに遷延性意識障害で寝たきりの場合は尊厳死の決定を誰がするのかは難問だろう.回復の可能性がまったくないと言える医師はたぶん一人もいないから,医師に決定権を与えられるのも困るし,家族に決定権を与える根拠は脳死臓器移植の場合のようにはいかないだろう.脳死と遷延性意識障害はまったく別物だから.

 だが,今後の決定方法なら簡単に述べることができないわけではない.脳死臓器移植は今後はドナーをはっきり拒否していない場合はOKということになるようだが,それなら延命処置をはっきりと希望していない場合は植物状態になったら人工呼吸や経管栄養を中止するというのもひとつの方法だろう.

 健康保険証や免許証の裏にでも本人の意思を書くことになったらみんなはなんと書くのだろうか.

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