尊厳死をみとめてあげたい
2005年2月14日 社会の問題『--母親に執行猶予つき判決 ALS呼吸器停止事件--
人工呼吸器を止め、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で療養中の長男(当時40)を死なせたとして、殺人罪に問われた神奈川県相模原市宮下本町1丁目、菅野初子被告(60)に対して、横浜地裁は14日、殺人罪よりも法定刑の軽い嘱託殺人罪の成立を認め、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。被告・弁護側は「息子の承諾のうえだった」と主張していた。
小倉正三裁判長は「同じ難病に苦しみながら闘病生活を送っている患者や家族に与えた衝撃は大きいが、生活のすべてを息子に捧げ、献身的に介護に専念してきた」と述べた。
刑法で殺人罪の法定刑は「死刑か無期もしくは3年以上の懲役」と定められているが、その人の嘱託や同意を受けて殺した場合は「6カ月以上7年以下の懲役または禁固」とされている。
弁護側は昨年11月からの公判で、幸男さんが呼吸器装着を後悔しており、昨年春に眼球の動きが低下してパソコンが使用できなくなってからは「死にたい。呼吸器を外してほしい」と繰り返し訴えていた、と指摘。
菅野被告が事件当日の夕方、「今日、お母さんと逝こう」と語り掛けると、五十音が並んだ文字盤を眼球で追って「おふくろ、ごめん。ありがとう」と応じたので、菅野被告は幸男さんが呼吸器停止を承諾していると考えた、と訴えていた。
これに対して検察側は「幸男さんは意思表示能力が極度に減退しており、被告は幸男さんとほとんど意思疎通できなかった」と指摘。幸男さんが「おふくろ、ごめん。ありがとう」と答えたとしても、謝罪と感謝の言葉にも受け取れるので、真意の承諾とは評価できない、と主張していた。
判決によると、菅野被告は昨年8月26日、長男幸男さんに睡眠薬を飲ませたうえ、同日午後11時59分ごろ、呼吸器の酸素供給を停止させ、幸男さんを窒息で死なせた。菅野被告も自殺を図ったが、夫に発見されて、一命を取り留めた。』
日々,寝たきりで意識もない患者さんたちを診させてもらっているが.手足がすっかり拘縮してミイラのようになってしまった姿をみるにつけ元気だった頃はどんな方だったのだろうと思う.だが,変わり果てたその姿からは想像することさえ難しい.
自分の家族や自分がその様な状態になるとしたら私はやっぱり尊厳死を選ぶだろうと思う.自分の家族や自分の姿が元気だったころの家族との思い出から乖離していってしまうことには耐えられない.
またALSに限らず意識はしっかりしていても言葉を出せず,手も足も動かせず,目で合図することしかできない状態になる脳梗塞の一種もある.閉じこめ症候群といわれるものである.かなり昔の映画でピラミッドという映画があった.拷問に使う人型の拘束具に閉じこめられた悪者の眼だけが画面にアップになる場面があった.ちょうど身動きできないまま死の恐怖に怯えるところが恐かったので記憶に残っているのだが,まさに自分の体に閉じこめられる気分になるだろう.
介護してもらえるとはいえ,いつ死ぬかもわからず自分ではどうすることもできないというのでは死んだほうがましという気分になってもおかしくないだろう.問題は自殺する自由も与えられないということだろう.
わが国では尊厳死が認められていない.だからこのような家族に頼んで楽にしてもらうなどという悲劇が起こるのだろう.医学は基本的に患者を延命させるという使命があるのはわかるが,患者の苦痛をなくすという視点で考えれば尊厳死もみとめてあげなければならないような気がする.
人工呼吸器を止め、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で療養中の長男(当時40)を死なせたとして、殺人罪に問われた神奈川県相模原市宮下本町1丁目、菅野初子被告(60)に対して、横浜地裁は14日、殺人罪よりも法定刑の軽い嘱託殺人罪の成立を認め、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。被告・弁護側は「息子の承諾のうえだった」と主張していた。
小倉正三裁判長は「同じ難病に苦しみながら闘病生活を送っている患者や家族に与えた衝撃は大きいが、生活のすべてを息子に捧げ、献身的に介護に専念してきた」と述べた。
刑法で殺人罪の法定刑は「死刑か無期もしくは3年以上の懲役」と定められているが、その人の嘱託や同意を受けて殺した場合は「6カ月以上7年以下の懲役または禁固」とされている。
弁護側は昨年11月からの公判で、幸男さんが呼吸器装着を後悔しており、昨年春に眼球の動きが低下してパソコンが使用できなくなってからは「死にたい。呼吸器を外してほしい」と繰り返し訴えていた、と指摘。
菅野被告が事件当日の夕方、「今日、お母さんと逝こう」と語り掛けると、五十音が並んだ文字盤を眼球で追って「おふくろ、ごめん。ありがとう」と応じたので、菅野被告は幸男さんが呼吸器停止を承諾していると考えた、と訴えていた。
これに対して検察側は「幸男さんは意思表示能力が極度に減退しており、被告は幸男さんとほとんど意思疎通できなかった」と指摘。幸男さんが「おふくろ、ごめん。ありがとう」と答えたとしても、謝罪と感謝の言葉にも受け取れるので、真意の承諾とは評価できない、と主張していた。
判決によると、菅野被告は昨年8月26日、長男幸男さんに睡眠薬を飲ませたうえ、同日午後11時59分ごろ、呼吸器の酸素供給を停止させ、幸男さんを窒息で死なせた。菅野被告も自殺を図ったが、夫に発見されて、一命を取り留めた。』
日々,寝たきりで意識もない患者さんたちを診させてもらっているが.手足がすっかり拘縮してミイラのようになってしまった姿をみるにつけ元気だった頃はどんな方だったのだろうと思う.だが,変わり果てたその姿からは想像することさえ難しい.
自分の家族や自分がその様な状態になるとしたら私はやっぱり尊厳死を選ぶだろうと思う.自分の家族や自分の姿が元気だったころの家族との思い出から乖離していってしまうことには耐えられない.
またALSに限らず意識はしっかりしていても言葉を出せず,手も足も動かせず,目で合図することしかできない状態になる脳梗塞の一種もある.閉じこめ症候群といわれるものである.かなり昔の映画でピラミッドという映画があった.拷問に使う人型の拘束具に閉じこめられた悪者の眼だけが画面にアップになる場面があった.ちょうど身動きできないまま死の恐怖に怯えるところが恐かったので記憶に残っているのだが,まさに自分の体に閉じこめられる気分になるだろう.
介護してもらえるとはいえ,いつ死ぬかもわからず自分ではどうすることもできないというのでは死んだほうがましという気分になってもおかしくないだろう.問題は自殺する自由も与えられないということだろう.
わが国では尊厳死が認められていない.だからこのような家族に頼んで楽にしてもらうなどという悲劇が起こるのだろう.医学は基本的に患者を延命させるという使命があるのはわかるが,患者の苦痛をなくすという視点で考えれば尊厳死もみとめてあげなければならないような気がする.
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