ビタミンEの過剰摂取
2004年11月12日『老化の原因になる体内の活性酸素を消す働きがあるビタミンEをサプリメントなどで大量に摂取すると、健康に有害な恐れがあるとする研究を米ジョンズホプキンズ大などがまとめ、10日、米心臓学会で発表した。欧米と中国で主に高齢者を対象に行われた、計19の臨床試験(患者総数約13万6000人)を分析した。1日に267ミリグラム(400国際単位)以上を摂取すると、最長約8年の追跡期間中の死亡率が、偽薬をのんだ人に比べ約10%高かった。摂取量がその半分以下だと、逆にプラスの効果も推定された。
死亡率が高くなる原因は不明。試験参加者の大半は持病があったため、研究者らはさらに研究が必要と認めているが「無害と分かるまで大量摂取は控えた方がいい」としている。
日本人の1日のビタミンE所要量は成人男性10ミリグラム、同女性8ミリグラムで、摂取上限は600ミリグラム。専門家によると食事から取れるのは10ミリグラム程度だが、サプリメントは1錠で267ミリグラム以上を含む製品もあるという。』
脳外科医としてはサプリメントもさることながら外来で投与しているユベラNというビタミンE製剤が気になった.
私自身はその効果をあまり信じてはいないが,効能には1.脂質代謝改善作用,2.微小循環系賦活作用,3.血管強化作用,4.血小板凝集抑制作用などがあり昔から脳外科の外来でもよく処方されているものだ.だが,エーザイのユベラNソフトカプセルは1カプセル200mg製剤で,通常成人には1日3カプセルを3回に分けて経口投与するから1日あたり600mgとなる.
これが本当に死亡率を高めるのならやはり中止しなければならないのだろうが,さてどうしたものだろうか.目に見えて副作用があれば患者さんもすぐに休薬に同意するのであるが,そうでもないと長年服用した薬をやめるのには相当な抵抗があるものらしい.
話は変わるが最近では出血性の合併症のリスクのためにラクナ梗塞の患者さんには抗血小板薬(アスピリン,パナルジンなど)は投与しないのである.昔はよく処方されていたのでこれを中止しようとすると,「前の先生はこの薬だけは死ぬまで飲むんだよ」と言っていたとか,「血をさらさらにして脳梗塞を予防する薬はやめたくない」とか言ってやめようとしない患者さんに遭遇して説明に窮することが多い.
あまりに抵抗されるとさすがに処方を継続することにしないと外来が滞ることになり結局処方してしまうのであるが,困ったものだ.終末動脈の動脈硬化は血管が閉塞すればラクナ梗塞,破綻して出血すれば脳内出血となり致死率は出血の方が高いから生命予後を考えるならやはり抗血小板薬の適応はないだろう.
内科開業医でも脳梗塞というと安易に抗血小板薬が処方されているのがみられるが閉塞性動脈疾患でもない限りそのような処方は厳に慎むのがEBMに基づく治療だと思うのだがどうだろうか.
死亡率が高くなる原因は不明。試験参加者の大半は持病があったため、研究者らはさらに研究が必要と認めているが「無害と分かるまで大量摂取は控えた方がいい」としている。
日本人の1日のビタミンE所要量は成人男性10ミリグラム、同女性8ミリグラムで、摂取上限は600ミリグラム。専門家によると食事から取れるのは10ミリグラム程度だが、サプリメントは1錠で267ミリグラム以上を含む製品もあるという。』
脳外科医としてはサプリメントもさることながら外来で投与しているユベラNというビタミンE製剤が気になった.
私自身はその効果をあまり信じてはいないが,効能には1.脂質代謝改善作用,2.微小循環系賦活作用,3.血管強化作用,4.血小板凝集抑制作用などがあり昔から脳外科の外来でもよく処方されているものだ.だが,エーザイのユベラNソフトカプセルは1カプセル200mg製剤で,通常成人には1日3カプセルを3回に分けて経口投与するから1日あたり600mgとなる.
これが本当に死亡率を高めるのならやはり中止しなければならないのだろうが,さてどうしたものだろうか.目に見えて副作用があれば患者さんもすぐに休薬に同意するのであるが,そうでもないと長年服用した薬をやめるのには相当な抵抗があるものらしい.
話は変わるが最近では出血性の合併症のリスクのためにラクナ梗塞の患者さんには抗血小板薬(アスピリン,パナルジンなど)は投与しないのである.昔はよく処方されていたのでこれを中止しようとすると,「前の先生はこの薬だけは死ぬまで飲むんだよ」と言っていたとか,「血をさらさらにして脳梗塞を予防する薬はやめたくない」とか言ってやめようとしない患者さんに遭遇して説明に窮することが多い.
あまりに抵抗されるとさすがに処方を継続することにしないと外来が滞ることになり結局処方してしまうのであるが,困ったものだ.終末動脈の動脈硬化は血管が閉塞すればラクナ梗塞,破綻して出血すれば脳内出血となり致死率は出血の方が高いから生命予後を考えるならやはり抗血小板薬の適応はないだろう.
内科開業医でも脳梗塞というと安易に抗血小板薬が処方されているのがみられるが閉塞性動脈疾患でもない限りそのような処方は厳に慎むのがEBMに基づく治療だと思うのだがどうだろうか.
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