リスクは無いわけではなく可能性の問題だ
2004年11月8日『横浜市立脳血管医療センター(磯子区)で昨年、くも膜下出血で搬送された米国籍の50代の男性患者が手術2日後に死亡していたことが8日、分かった。センターによると、男性は昨年8月上旬、足の付け根からカテーテルを入れ、脳内の動脈瘤(りゅう)を治療する手術中に動脈瘤が破裂、脳死状態となり死亡した。センターは「当時の状況を担当医から聴くがミスはなかったと考えている」としている。
同センターでは昨年7月に50代の女性患者が、脳の内視鏡手術直後に一時危篤になり、全身まひの後遺障害が生じた。センターは当初、医療ミスを否定したが、外部の専門医らで構成する調査委員会が今年9月、医療過誤と認定している。』
こういうニュースの書き方だと同様にミスがあったかのような印象を読者に与えかねないだろう.もっともそれが報道機関の意図するところなのかも知れないが,脳の内視鏡手術と血管内手術の間にはなんの関係もないのだから,この記事の書き方は意図的なものと感じられる.
そもそも医療行為というものに絶対安全というものはない.破裂動脈瘤だろうが未破裂動脈瘤だろうが動脈瘤は破れる可能性を持っている.だからこそ治療の対象となるのである.可能性がある以上あとは確率の問題であるから,破れたからミスで死亡したら刑事責任を追求だとかいうのなら手術などできないだろう.
血管内手術による塞栓術と開頭術によるクリッピング術のどちらが安全かという問題は総数と予後で見た場合には確率的に血管内手術に分がありそうであるが,よりクリティカルな部分ではクリッピング術のほうが安全マージンが高い症例もあると思われるので,症例ごとにどちらを採るのか決定するには勘と経験がものをいうであろう.
最近の傾向として医療を結果のみでみる患者や家族が多いのが気になるのであるが,そういうことを繰り返していくと治療のチャンスそのものを失っていくだけだと思うことが多い.よい薬にも副作用があるように,いい手術にも危険は必ず伴うということを理解してもらわなけらばいい医者も育たないわけである.
同センターでは昨年7月に50代の女性患者が、脳の内視鏡手術直後に一時危篤になり、全身まひの後遺障害が生じた。センターは当初、医療ミスを否定したが、外部の専門医らで構成する調査委員会が今年9月、医療過誤と認定している。』
こういうニュースの書き方だと同様にミスがあったかのような印象を読者に与えかねないだろう.もっともそれが報道機関の意図するところなのかも知れないが,脳の内視鏡手術と血管内手術の間にはなんの関係もないのだから,この記事の書き方は意図的なものと感じられる.
そもそも医療行為というものに絶対安全というものはない.破裂動脈瘤だろうが未破裂動脈瘤だろうが動脈瘤は破れる可能性を持っている.だからこそ治療の対象となるのである.可能性がある以上あとは確率の問題であるから,破れたからミスで死亡したら刑事責任を追求だとかいうのなら手術などできないだろう.
血管内手術による塞栓術と開頭術によるクリッピング術のどちらが安全かという問題は総数と予後で見た場合には確率的に血管内手術に分がありそうであるが,よりクリティカルな部分ではクリッピング術のほうが安全マージンが高い症例もあると思われるので,症例ごとにどちらを採るのか決定するには勘と経験がものをいうであろう.
最近の傾向として医療を結果のみでみる患者や家族が多いのが気になるのであるが,そういうことを繰り返していくと治療のチャンスそのものを失っていくだけだと思うことが多い.よい薬にも副作用があるように,いい手術にも危険は必ず伴うということを理解してもらわなけらばいい医者も育たないわけである.
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