『−−介護保険料:自己負担増え、サービス低下 給付費抑制へ地ならし−−厚労省が試算
 厚生労働省が21日、65歳以上の高齢者について示した介護保険料の将来試算は、給付費の抑制を盛り込む05年の制度改正に向けた環境整備が主な狙いだ。しかし、介護保険は2000年度にスタートしたばかりなのに、なぜ急激に保険料が上昇するのかといった疑問に答えるものではなく、国民への説明は十分とは言えない。 介護給付費は00年度の3・6兆円から03年度は5・7兆円と急増。それだけ社会全体で高齢者介護を支えるようになったとは言えるが、一方で同保険の理念の「規制緩和、民間参入」が想定以上に給付費を押し上げている側面もある。
 制度発足直後、介護分野の営利法人は約1万だったが、今年は約2万5000に増加した。営利法人が需要を「発掘」、給付費増に跳ね返る結果となった。同省幹部は「民間参入の理念は間違っていないが、給付増の一因というジレンマはある」と誤算を認める。
 軽度の要介護者は、ヘルパーに料理などの家事援助を頼むだけの人が多い。厚労省はこれが「本人の身体機能低下」→「一層の給付費増」との悪循環を招いているとみて、家事援助の大幅制限に乗り出すことにした。代わりに介護予防事業を導入、軽度の要介護者に筋力トレーニングや食べ物をかむ機能の維持といった訓練費用を保険から給付し、重度化を防ぐ。 さらに、「費用のかさむ施設介護から安い在宅介護へ」の流れを促進するために、現在は最大9割が保険給付される施設入所者の居住費(家賃、光熱水費)と食費を全額自己負担とする。特別養護老人ホームの4人部屋入居者(モデル)の場合、自己負担は現在月額5万6000円だが、8万7000円になる。同省は要介護認定者の施設利用割合を現在の41%から10年後に37%以下に抑える考え。
 ただ、こうした対応に、福祉施設関係者からは「効率の悪い公立施設も運営できる高い介護報酬設定の見直しなど、先にやるべきことはある」との批判も出ている。
 一方、試算では現行制度のままのケース(1)で、現在5・7兆円の給付費総額は12〜14年度に10・6兆円に膨らむが、制度改正により重度の要介護者になる割合が10%減少と想定したケース(2)では8・7兆円に抑えられるという。
 また、介護保険料の制度改正による圧縮効果は1000円強。ただ、保険料は市町村が設定しているため、地域格差がある。施設給付の割合が高い上位30市町村(現在3700円)の場合、12年度の保険料は6600円になる見込みだが、ケース(2)では5400円になる。逆に下位30市町村(同2600円)は現行のままなら4800円、改正により4100円になるという。』

病院に社会的入院という形で入院していた要介護者を病院から引き離し健康保険の負担を減らしたかったのだろうが,今度は介護保険の破綻が見えてきたようだ.

病院よりも民間業者のほうが他に患者がいない分だけ利益追求するのは当たり前で,同じサービス当りでは費用はかえって増大したに違いないし,医師や看護師が常駐している病院にいるよりサービスが低下することも予想できていたはずである.

結局は健康保険の費用の減少より介護保険料の増大が上回り国民の負担は増えて要介護者へのサービスは低下したというのが本当のところだろう.

病院から要介護者がいなくなって医師としては負担が減ったが,病院経営上は定常的な収入源であった社会的入院患者が減り,平均在院日数の縛りが増えて経営は厳しくなったわけである.

健康保険の自己負担も増えて,さらに介護保険料がアップしたのでは納得できないが,今後の介護保険はさらに給付費の抑制と施設利用の抑制と続いていき,まだまだ高くてまずいサービスになっていくようである.

病院側も今後は本来の医療費を上げてもらうか,医療の質を落とすかしなければ経営は成り立たないだろう.この場合の医療の質とは必要のない検査や手術を増やすということも含まれる.

週刊誌などでは手術の多い病院ほどいい病院みたいなことも書いてあるが,本来手術をしなくていいものを手術しても悪くなるはずもないから手術成績はいいはずだし,やったほうが明らかに病院の経営にいいわけだから,手術が多いからいい病院だなんて思っていても実はあてにはならないものだということを忘れないほうがいいだろう.

たとえば脳神経外科にしても雑誌に書いてある病院で私がおすすめしたい病院なんて本当にわずかしかない.だからマスコミの情報なんて信用しているとひどい目にあうのだろうが,事故の時には大きくて有名な病院のほうが慰謝料はたくさん払ってくれそうなのでそういう選択の仕方もあるのかも知れない.

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