『尾辻秀久厚生労働相は28日、診療報酬改定をめぐり厚生労働省幹部を懲戒処分したことについて、「現職の幹部が日本歯科医師会幹部とその依頼を受けたとされる国会議員などから飲食の供与、現金の贈与を受けていたことが明らかになり、国民の信頼を大きく損ねたことは、誠に遺憾」と陳謝。その上で「再び起こさないように、利害関係者との関連における公務員倫理の保持と職員の意識改革を徹底していく」との談話を発表した。』

公務員が賄賂をもらうなんて漫画のような話が現実になっているのが日本の官僚政治であることはニュースにならなくても誰でも疑っていたことだろう.

だが,日本歯科医師会が自分たちの利権のために動くのは当然である.ただ手段を誤ったから当事者は罰せられたのだ.これと好対照なのが日本医師会だろう.診療報酬の引き下げにも大きな反対行動はとらなかったし,院外処方にも介護保険にも効果的な反対行動はとらなかったのである.

やったここと言えば,公的病院よりも開業医のダメージを少なくすることによって発言権のある会員の利益を守ったことぐらいだろうか.私たち勤務医の待遇は悪くなるばかりであるが勤務医は医師会では蚊帳の外である.今後は医療の質のなかでも医師の資質の低下を危惧する時代になりそうである.研修医の掲示板を見るといかにサラリーマン的思考をする研修医が多いことか.研修医制度自体が企業の新人研修研修みたいなものだからいたし方無いのであろうか.

だが,回りまわってもっとも損をするのは他でもない患者さんである.院外処方になっていったい何が良くなったのであろうか.介護保険でいったいどんなサービスの質が向上したというのであろうか.お客として丁寧に扱われるだろうがそれが医療の質になんの関係があるのだろうか.そんなものは自分が払ったお金の代償にすぎないのである.院外処方薬局も在宅介護支援も今やコンビニのように業者がひしめきあっているのである.

厚生労働省の考えたシナリオを推理してみた.従来病院のものであった処方や社会的入院による利益を餌に市中の薬局や介護業者に市場を形成させ病院の利益であるはずの医療費を縮小し,その後に薬局や介護業者の利益も縮小させるという2段階で国庫負担の医療費を削減するのが本当の目的だったのではないだろうか.現に最近介護保険などの点数が引き下げられ介護業者の経営状態は悪化しているようだ.

今後,介護保険や身体障害者福祉,精神障害者福祉を地方自治体に負担させることになっているのだが,そうした時に現状のサービスでさえも個人の負担増なしに維持できるかどうか甚だ疑問なのである.現状でさえ社会的入院に比べるとそうとうひどい状態になっていることを知っているのだろうか.グループホームなどでは具合が悪くなっても人手不足で病院に連れて行ってもらえないことさえあるようだ.

中国の故事に「朝三暮四」というのがあるが,目先を変えることによって国民を欺き社会福祉を低下させているこの国に未来はあるのだろうか.厚生労働省の官僚はきっと国民は猿並だと思っているにちがいない.猿がどんな最期を迎えようとも気にならないのであろうが,哀れな猿になりたくなければ先のことをよく考えて行動する人にならなければならない.あなたにだっていつ寝たきりの状態が襲ってくるかも知れないのだから.

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