医療事故防止委員会の判断は?
2004年8月24日『神奈川県松田町の県立足柄上(あしがらかみ)病院(堀口一弘院長、336床)で、80代の男性患者が胃に入れるべきチューブを誤って肺に挿入され、死亡する医療事故があったことが23日、分かった。松田署が司法解剖した結果、死因は急性肺炎だった。同署は業務上過失致死の疑いがあるとみて看護師や医師らから事情を聴いている。病院などによると、男性患者は肺腫瘍(しゅよう)などの治療で入院中で19日午後、看護師が栄養補給のためのチューブを誤って肺に挿入したという。病院は翌20日昼すぎ、誤挿入に気付いたが、男性は同日夜、死亡した。病院は遺族に事情を説明し謝罪した。病院側は「取り返しの付かないミスで申し訳ない。再発防止に全力で取り組む」としている。』
『神奈川県松田町の県立足柄上病院(堀口一弘院長)で、チューブを誤って肺に入れられた男性入院患者(84)=同県南足柄市=が死亡する医療事故があったことが分かった。23日、病院が発表した。病院はミスを認め家族に謝罪、県警松田署に届けた。同署は業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。病院によると、19日正午ごろ、担当の研修医が患者の鼻から胃に通じるチューブを取り換えた。約30分後、チューブが口の中でたわんでいるのを看護師が見つけ、つけ換えた際、誤って肺に入れた。栄養剤などを注入すると患者は呼吸困難になった。研修医は肺のレントゲン撮影をしたが、チューブに気づかず、肺炎と診断した。20日正午ごろ誤挿入に気付いたが、患者は午後10時半過ぎ死亡した。急性肺炎とみられる。堀口院長は「初歩的な医療ミス。(チューブが胃に入ったかの)確認が十分でなかった」と話した。研修医は3月に大学を卒業後、4月後半から研修医となった。看護師は23年のベテランという。』
同じ医療事故のニュースだが記事を読んで受ける印象はまるで異なる.チューブが胃に入ったかの確認が十分でなかったことを病院が認めてすみませんでしたというのでは真実はわからないだろう.
解剖して肺から経管栄養剤が出てくれば誤嚥による急性肺炎が死因であるとはいえる.だが,その原因は様々なことが考えられるだろう.1.気管に胃管を挿入し栄養剤を注入した.2.嘔吐したものを誤嚥した.3.栄養剤を注入中に胃管を引き抜き誤嚥した.などである.
今回のケースはどうやら1.ということらしい.では,そうだとした場合,その確認をした3ヶ月の研修医と23年のベテラン看護師の責任の度合いはどの程度なのかに興味がある.さらに,この研修医を指導していた医師の責任はどの程度問われるのか.
医療事故の予防という点から考えるとこの肺腫瘍の84歳の患者さんに経管栄養の適応があったのかも考えるべきである.現在であれば末梢静脈からの栄養でも2週間くらいならなんとかなるし,より長期投与なら中心静脈栄養や胃漏という方法もある.
もし癌の末期であったとしたらどこまで延命するのかという話もありうるはずで安易に経管栄養して誤嚥で死亡したのではなんのための延命治療かさえわからなくなる.
業務上過失致死で警察が調べているそうだが,事故を未然に防ぐためにも警察とこの病院の医療事故防止委員会の判断を聞いてみたいのは私だけではないだろう.
『神奈川県松田町の県立足柄上病院(堀口一弘院長)で、チューブを誤って肺に入れられた男性入院患者(84)=同県南足柄市=が死亡する医療事故があったことが分かった。23日、病院が発表した。病院はミスを認め家族に謝罪、県警松田署に届けた。同署は業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。病院によると、19日正午ごろ、担当の研修医が患者の鼻から胃に通じるチューブを取り換えた。約30分後、チューブが口の中でたわんでいるのを看護師が見つけ、つけ換えた際、誤って肺に入れた。栄養剤などを注入すると患者は呼吸困難になった。研修医は肺のレントゲン撮影をしたが、チューブに気づかず、肺炎と診断した。20日正午ごろ誤挿入に気付いたが、患者は午後10時半過ぎ死亡した。急性肺炎とみられる。堀口院長は「初歩的な医療ミス。(チューブが胃に入ったかの)確認が十分でなかった」と話した。研修医は3月に大学を卒業後、4月後半から研修医となった。看護師は23年のベテランという。』
同じ医療事故のニュースだが記事を読んで受ける印象はまるで異なる.チューブが胃に入ったかの確認が十分でなかったことを病院が認めてすみませんでしたというのでは真実はわからないだろう.
解剖して肺から経管栄養剤が出てくれば誤嚥による急性肺炎が死因であるとはいえる.だが,その原因は様々なことが考えられるだろう.1.気管に胃管を挿入し栄養剤を注入した.2.嘔吐したものを誤嚥した.3.栄養剤を注入中に胃管を引き抜き誤嚥した.などである.
今回のケースはどうやら1.ということらしい.では,そうだとした場合,その確認をした3ヶ月の研修医と23年のベテラン看護師の責任の度合いはどの程度なのかに興味がある.さらに,この研修医を指導していた医師の責任はどの程度問われるのか.
医療事故の予防という点から考えるとこの肺腫瘍の84歳の患者さんに経管栄養の適応があったのかも考えるべきである.現在であれば末梢静脈からの栄養でも2週間くらいならなんとかなるし,より長期投与なら中心静脈栄養や胃漏という方法もある.
もし癌の末期であったとしたらどこまで延命するのかという話もありうるはずで安易に経管栄養して誤嚥で死亡したのではなんのための延命治療かさえわからなくなる.
業務上過失致死で警察が調べているそうだが,事故を未然に防ぐためにも警察とこの病院の医療事故防止委員会の判断を聞いてみたいのは私だけではないだろう.
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