『-医学生志望調査:「やりがい」で小児科 内科は「漠然」と-
 小児科と産婦人科志望は、やりがいを重視。医学部の学生に将来の志望診療科と理由を尋ねたところ、こんな結果が出た。小児科と産婦人科は勤務のきつさなどから成り手が少ないと指摘されているが、調査した多摩大学大学院の真野俊樹客員教授(医療経営学)は「医学部の授業や病院実習で、やりがいをアピールすれば、やる気のある学生が集まるのでは」と話している。
調査は真野客員教授と名古屋大医療管理情報学講座の共同研究。診療科間で医師の偏りが目立ってきたため、医学生の志望先とその理由を探り、不足がちな診療科への志望者を増やすのが狙い。同大、藤田保健衛生大など4大学の6年生と4年生218人に02年秋、志望する診療科とその理由などを尋ねた。診療科を決める際に重視するものとして、「時間的自由」「やりたいことができる自由」「やりがい」「収入」「安定感」の5項目について、「強い」から「弱い」の5段階で答えてもらった。
その結果、第1志望先は内科89人(41%)、外科22人(10%)、小児科16人(7%)、整形外科と産婦人科11人(5%)、皮膚科と精神科7人(3%)、耳鼻科6人(3%)、眼科5人(2%)の順だった。志望先と性別、重視する項目の相関を分析すると、小児科では女性の志望が多く、時間的自由や収入の多さよりも、やりがいを重視する学生が多かった。産婦人科も女性が多く、外科とともに、やりがいを重視する傾向があった。一方、内科は他の診療科に比べ、志望理由が不明確な学生が目立った。整形外科と同様に収入を重視する傾向も弱いながら認められた。真野客員教授は小児科や産婦人科医の確保策として、各診療科によるやりがいの強調のほか、女性が多いので出産や育児が安心してできる職場環境の整備を勧めている。』

脳外科を志望するものは書かれていないということは218人中5人以下ということなのだろう.21世紀は脳科学の時代といわれながら脳に興味を持ってもらえないとしたら寂しい限りである.脳こそが人間がヒトである所以なのだが,最近の獣医学部の人気といいヒトであることに興味のない学生が増えたのだろうか.

小児科,産婦人科を志望するものが少ないのもヒトに対する興味が薄れているのが一つの原因なのではないかという気がする.医学というものを病気という側面からしかみることができないのでは医師としては不十分である.それなら動物もヒトも同じようなものだ.

医師の対象はヒトであり,そのヒトの人生にかかわるからこそやりがいのある仕事なのだと私は思っている.一人の人間である医師が多くの人々の人生に大きくかかわっていくことにこそやりがいを感じて欲しいものだ.そういった意味でヒトたる人間の脳に自分の手で直接的にかかわれる唯一の診療科目であるのことが私が脳外科医になった理由のひとつである.

医師という職業を収入を得るための仕事としてとらえるならば時間的自由や収入の多さを重視することになるだろうが,それなら他の職業のほうがはるかに効率がいいだろう.たとえば似たような職業でも歯科医や獣医であれば人間の死というものに直面することは医師にくらべればはるかに少ないのだから.

だから結果として収入を得るための仕事であるにしてもヒトと向き合っていくことにやりがいを感じれなければ長続きせずにやる気を失っていくことになるのである.私のまわりにも脳外科医としてのやる気を失ってしまった医師たちが目につくようになったが「漠然」と選択した結果だとしたらただ同情するほかない.

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