『--死亡胎児:幹細胞利用で再生医療に 厚労省が指針案提示--
 厚生労働省の専門委員会は1日、死亡した胎児から幹細胞を採取して臨床研究に利用する際の指針案を示した。中絶への同意と治療への協力に関する意思確認は別個に行うことや研究の科学的妥当性を国の機関が審査することなどが条件とされた。指針に従えば、損傷した脊髄(せきずい)の回復など再生医療に死亡胎児を利用する治療が公式に解禁される。今秋までに最終案をまとめるが、生命倫理の観点から慎重な意見もあり、議論を呼びそうだ。指針案は、利用する際の要件と同意の手続きの2点を中心に構成され、十分な動物実験の実績や他の治療法がないことを前提条件とした。その上で胎児の両親が中絶の意思決定をした後に、研究への協力の説明を受けることに同意し、医師以外のコーディネーターが研究内容を十分に説明するとした。同意はいつでも撤回できることも明記した。研究機関の倫理委員会の承認と、国の機関による審査を義務付けた。死亡胎児の利用は、同委員会が02年12月にいったん認めたが、議論不足との指摘が相次ぎ、審議を継続。今年5月に再度容認し、具体的な手順を議論していた。今回の指針は、幹細胞を用いた治療を想定しているため、基礎研究、胎児の組織や臓器の利用などには適用されない。幹細胞は、さまざまな機能を持った細胞に分化、成長することができ、再生医療への応用が期待されている。専門委の中畑龍俊委員長(京都大教授)は「きちんとしたルールの下に、再生医療を進める体制をつくりたい」と話している。』

脳死臓器移植が行われている現在,死亡胎児の細胞を再生医療につかっていけない理由はなさそうな気がするのだが,これが中絶とリンクしてくると話は別である.日本では中絶が適正に行われていると思っている人がいったいどれくらいいるであろうか.

米国では中絶に関する倫理的側面と女性の権利からの議論が相変わらず続いているようだが,わが国では中絶の倫理的側面に関する激しい議論が行われた記憶はない.中絶にいたる理由はいろいろあるだろうが安易に中絶手術が行われているような気がする.最近では出生前診断で男女産み分けをしようなどという産婦人科医まで現れる始末だ.

このように中絶で死亡胎児を得るということには移植以前にまだ検討するべき問題があるはずだが,中絶への同意と治療への協力に関する意思確認を別個に行えば解決されることなのだろうか.ヒトクローン胚研究の容認の時のように患者のためといって強行採決するようなことをすれば再生医療にも悪影響を及ぼす恐れがあることを忘れてもらいたくないものだ.

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