『福岡県警捜査1課は10日、脳外科手術中のミスで患者を死なせたとして業務上過失致死の疑いで、福岡市西区の白十字病院(溝口強美(みぞぐち・つよみ)病院長)に勤務していた男性医師(37)と女性医師(31)を書類送検した。調べでは、2人は昨年7月31日、水頭症を発症した同市西区の女性=当時(52)=の手術を担当。頭蓋(ずがい)内にたまって大脳を圧迫している脳脊髄液を取り除くため、右後頭部にチューブを挿管する直径17ミリの穴を開けた。しかし、位置を誤ったため、メスで静脈が集まった部分を傷つけ出血性ショックで死亡させた疑い。男性医師が脳神経外科医長として指導し、女性医師が執刀。2人は頭部に穴を開ける際、目安になる線を引くよう定めた病院のマニュアルを守っていなかった。溝口病院長は「大変申し訳ない。再発防止に安全管理体制を見直したい」と話した。患者の遺族に謝罪し、すでに示談が成立したという。』

水頭症手術の中で脳室-腹腔シャント術といわれる手技があり,これには前角穿刺という方法と後角穿刺という方法があるのだが,おそらくこれは後角穿刺の際に太い静脈もしくは静脈洞を切開して止血できなくなったのだろう.こんな話はさすがに聞いたことがないので驚いた.

ちゃんと穿刺予定部位を計測していれば通常は問題が起きる可能性は低いのだがこの記事ではそのあたりがよくわからない.指導医がいたのに事故が起きたのは慣れによる油断だったのかそれとも運が悪かったのかいったいどちらなのだろうか.

だが,ちゃんと計測しても誤差もあるしこの手術操作自体が静脈を直視下におく以前に静脈を損傷してしまうリスクのある手技でもあるので本当の事故原因の特定はなかなか難しいものがあるだろう.

脳外科領域に限らず俗に言うブラインド操作(直視下で行えない手技)というものが外科の手技に存在している以上こういったリスクは必ず存在するわけで,こういった記事をみると明日はわが身といった感じがして背筋が寒くなるのは私だけだろうか.

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