『臓器移植法施行から昨年末までに、脳死になった患者の臓器提供を経験した25病院のうち半数以上の14病院が、2度の法的脳死判定の前に行う臨床的脳死診断を撤廃した方がいいと考えていることが31日までに、厚生労働省研究班の調査で分かった。撤廃は、厳格に進めてきた脳死判定手続きの簡素化につながるだけに、議論を呼びそうだ。研究班の北原孝雄(きたはら・たかお)北里大助教授(脳神経外科学)は「提供病院側の人的、時間的な負担は重い。同じ検査を3回もする必要はないとの趣旨だが、批判を恐れる心理も根強いようで、撤廃反対も予想より多かった」と分析している。同助教授によると、臨床的脳死診断の手順は、人工呼吸器を外して自発呼吸の有無を調べる「無呼吸テスト」を原則的に行わない以外は、その後2回実施する脳死判定と同じ。研究班は今年、各病院の脳死判定責任者らに質問票を送付し、脳死診断を撤廃すべきかどうか尋ねた。撤廃賛成は14病院、反対が9病院、どちらとも言えないが2病院だった。このほか、臨床的脳死診断で行ったのと重複する検査を1回目の脳死判定で行わなくてもいい?と18病院が回答。反対は7病院だった。研究班は「手続き論的な臨床的脳死診断は必要のない時期に来ており、意味を成さなくなっている」と結論付けている。』

『小松美彦(こまつ・よしひこ)東京海洋大教授(生命倫理学)の話 臨床的脳死診断は本来、治療方針を決めるためのもの。撤廃で提供病院の負担軽減を図るのは、脳死移植を前提とした本末転倒の議論で、手続きの意味をゆがめている。患者を危険にさらす無呼吸テストを含む法的脳死判定の開始を、医師が必要以上に早めて繰り返すことにも通じかねず、絶対に撤廃を許してはならない。』

各病院の脳死判定責任者は移植前提の脳死判定に嫌気がさしているのだろう.やるなら法的脳死判定だけで勝手にやってくれというのが本音だろう.臓器を提供したい患者と臓器を移植されたい患者がいるならあとは脳死が成立すればいいわけでそこに主治医の治療方針など関係ないというのだろう.「手続き論的な臨床的脳死診断は必要のない時期に来ており、意味を成さなくなっている」とはそういう意味ととれる.法的脳死判定を先にやって脳死でないと判定されてから治療方針を考えるのもありなのかもしれない.だが,てっきり脳死と思って法的脳死判定をしたら脳死ではなかったなんてことになったら主治医も家族もさぞかし気まずいことだろう.

もし脳死でなかったら脳死になるまで待つのだろうか,なんのためにそこまでして臓器移植をする必要があるのだろうか?最近は堕胎した胎児の細胞を移植するなどという話もあるが病気の誰かのために脳死にされたり堕胎する時代になってもこれを医学の発展というのであろうか.

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