当直医は急患を診る必要なし?
2004年5月28日『--当直月10回など過酷勤務、500救急病院にメス--
夜間の小児救急などで医師の過重労働が問題化する中、厚生労働省労働基準局は、当直勤務の実態が労働基準法に大きく違反している約500の救急指定病院を対象に、初の全国一斉立ち入り検査に乗り出す。「週1回の当直が限度」や「夜間に十分な睡眠がとれる」など、同法の規定の徹底を図り、改善が見られない場合は、当直許可の取り消しを含め厳しく指導・監督する方針。医師の労働環境改善で医療の質の向上も期待できるが、医師不足の地域では、医療機関の集約化などの対応を迫られそうだ。労基局は、当直の許可を出している全国約6600の救急病院に対し、医師の勤務実態の自主点検を求め、〈1〉明確な報告がない〈2〉改善指導に応じない――など、問題が多い500の救急病院をリストアップした。6月いっぱいで立ち入り検査を行い、問題がある場合は当直許可を取り消して、複数の医師による交代制の導入など抜本的な勤務体制の見直しを求める。4月から同法が適用された国立病院、国立大病院についても、厳しくチェックする。当直や休日の勤務については、事業所が都道府県の労働基準監督署に届け出て許可を受けなければならない。病院の当直勤務は、「ほとんど労働していない状態」(労基法の規定)が前提だが、小児救急など患者がひっきりなしに訪れる医療現場では、「忙しくて仮眠する時間もない」(都内の小児科医)のが実情だ。「当直は週1回で、翌日は勤務を軽減する」との規定も、空文化している。特に地方では事態が深刻で、長崎大病院が今年3月、県内で小児救急を扱う20病院(医師58人)を対象に実施した調査では、時間外労働は週平均21時間で、「月10回以上の当直」も1割あった。当直明けの勤務の軽減は9割が「ない」と回答。「ひと月間に休みがゼロ」も4割を占めた。こうした実態は、労基局も把握してはいたが、病院側には応診義務があることに加え、夜間に小児患者が殺到するなどの状況もあって事実上、違法状態が放置されたままになっていた。しかし、東京都内の小児科医が、過労からうつ病を患って自殺(1999年)したり、大学病院の新人研修医が過労死認定(2002年)されたりという事例などをきっかけに、過酷な勤務に耐えかねた医師の「現行の当直体制は労基法違反」という訴えが目立つようになった。「医師の過労は患者にとっても危険」との世論が高まったこともあり、労基局は指導・監督の強化を決めた。
◆医師の当直=医療法では病院に医師の「宿直(当直)」を義務付けているが、労働基準法では、これをほとんど仕事のない留守番的なものと想定している。労基法は、夜間・休日の診療体制について、多数の患者の治療にあたるなど勤務実態が異なる場合には、交代勤務や超過勤務扱いでの対応を求めている。』
私が脳外科医になった頃から当直時に急患が来たら診察するのが当たり前だったが現在はこれが違法行為になるらしい.当直勤務は、「ほとんど労働していない状態」(労基法の規定)が前提というのもこの記事で初めて知った.
要するに私は今まで労働基準法違反とは知らずに一生懸命はたらいていたということになるのだろうか.病院長や医師派遣をしていた教授や医局長はこのことを知っていたのだろうか.悪いことをしていたとは思わないが,労働基準法違反なのであれば医師だからといって勤務医が病院の経営のために救急患者への対応をする必要はないだろう.
私が大学院生のころは1ヶ月10回の当直どころか15回やったこともあるのだ.大学での当直なんかは本当は正規の職員である教授から助手がやるものを大学院生がやって当直料は一部しかもらっていなかったなんてことまであったことが最近わかったぐらいである.
現在も週1回の当直はあたりまえだし救急患者も理由無く断ることなどない.そもそも救急指定病院なのだから断るわけにはいかないだろう.当直医は救急担当も兼任するのが常識なのがこの業界なのである.
地方の自治体病院の病院当直医は1人で救急患者すべての診察を必ずやり必要なら専門医を呼ぶというのが多くの病院での当直業務であろう.しかも院長や副院長が当直するなんて話は聞いたことがない.公的病院では早急に救急診療の体制の見直しをせまられるだろう.
だが,現実には当直の回数を労働基準法で定めた範囲にすると当直医が足りない病院がたくさんあると思われるが,こうした病院はどういうことになるのだろうか.結局,これも新手の病院潰しなのかもしれない.
医師の名義貸し問題にはじまり地方医療にとってはさらに厳しい時代になったと言える.
夜間の小児救急などで医師の過重労働が問題化する中、厚生労働省労働基準局は、当直勤務の実態が労働基準法に大きく違反している約500の救急指定病院を対象に、初の全国一斉立ち入り検査に乗り出す。「週1回の当直が限度」や「夜間に十分な睡眠がとれる」など、同法の規定の徹底を図り、改善が見られない場合は、当直許可の取り消しを含め厳しく指導・監督する方針。医師の労働環境改善で医療の質の向上も期待できるが、医師不足の地域では、医療機関の集約化などの対応を迫られそうだ。労基局は、当直の許可を出している全国約6600の救急病院に対し、医師の勤務実態の自主点検を求め、〈1〉明確な報告がない〈2〉改善指導に応じない――など、問題が多い500の救急病院をリストアップした。6月いっぱいで立ち入り検査を行い、問題がある場合は当直許可を取り消して、複数の医師による交代制の導入など抜本的な勤務体制の見直しを求める。4月から同法が適用された国立病院、国立大病院についても、厳しくチェックする。当直や休日の勤務については、事業所が都道府県の労働基準監督署に届け出て許可を受けなければならない。病院の当直勤務は、「ほとんど労働していない状態」(労基法の規定)が前提だが、小児救急など患者がひっきりなしに訪れる医療現場では、「忙しくて仮眠する時間もない」(都内の小児科医)のが実情だ。「当直は週1回で、翌日は勤務を軽減する」との規定も、空文化している。特に地方では事態が深刻で、長崎大病院が今年3月、県内で小児救急を扱う20病院(医師58人)を対象に実施した調査では、時間外労働は週平均21時間で、「月10回以上の当直」も1割あった。当直明けの勤務の軽減は9割が「ない」と回答。「ひと月間に休みがゼロ」も4割を占めた。こうした実態は、労基局も把握してはいたが、病院側には応診義務があることに加え、夜間に小児患者が殺到するなどの状況もあって事実上、違法状態が放置されたままになっていた。しかし、東京都内の小児科医が、過労からうつ病を患って自殺(1999年)したり、大学病院の新人研修医が過労死認定(2002年)されたりという事例などをきっかけに、過酷な勤務に耐えかねた医師の「現行の当直体制は労基法違反」という訴えが目立つようになった。「医師の過労は患者にとっても危険」との世論が高まったこともあり、労基局は指導・監督の強化を決めた。
◆医師の当直=医療法では病院に医師の「宿直(当直)」を義務付けているが、労働基準法では、これをほとんど仕事のない留守番的なものと想定している。労基法は、夜間・休日の診療体制について、多数の患者の治療にあたるなど勤務実態が異なる場合には、交代勤務や超過勤務扱いでの対応を求めている。』
私が脳外科医になった頃から当直時に急患が来たら診察するのが当たり前だったが現在はこれが違法行為になるらしい.当直勤務は、「ほとんど労働していない状態」(労基法の規定)が前提というのもこの記事で初めて知った.
要するに私は今まで労働基準法違反とは知らずに一生懸命はたらいていたということになるのだろうか.病院長や医師派遣をしていた教授や医局長はこのことを知っていたのだろうか.悪いことをしていたとは思わないが,労働基準法違反なのであれば医師だからといって勤務医が病院の経営のために救急患者への対応をする必要はないだろう.
私が大学院生のころは1ヶ月10回の当直どころか15回やったこともあるのだ.大学での当直なんかは本当は正規の職員である教授から助手がやるものを大学院生がやって当直料は一部しかもらっていなかったなんてことまであったことが最近わかったぐらいである.
現在も週1回の当直はあたりまえだし救急患者も理由無く断ることなどない.そもそも救急指定病院なのだから断るわけにはいかないだろう.当直医は救急担当も兼任するのが常識なのがこの業界なのである.
地方の自治体病院の病院当直医は1人で救急患者すべての診察を必ずやり必要なら専門医を呼ぶというのが多くの病院での当直業務であろう.しかも院長や副院長が当直するなんて話は聞いたことがない.公的病院では早急に救急診療の体制の見直しをせまられるだろう.
だが,現実には当直の回数を労働基準法で定めた範囲にすると当直医が足りない病院がたくさんあると思われるが,こうした病院はどういうことになるのだろうか.結局,これも新手の病院潰しなのかもしれない.
医師の名義貸し問題にはじまり地方医療にとってはさらに厳しい時代になったと言える.
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