先日,脳神経外科のある他の病院で脳ドックを受けて3D-CTAまで行って脳動脈瘤を疑われた患者さんが脳血管撮影を勧められたがその必要性に疑問を持ち私の外来に検査結果を持参して受診された.

私はその結果を見せていただいたところ確かに直径2−3mm程度の動脈瘤はありそうだった.もしあったとして手術治療を希望するのかとたずねたところはっきりと希望しないとの答えだったので,これ以上の検査はお勧めしなかったのだが,こんな話のためにわざわざ紹介状を書いた脳外科医のほうに私は疑問を持った.

なぜなら脳ドック学会のガイドラインでは少なくとも脳動脈瘤の最大径が5mmはないと手術を勧めるようなことはないのと,5mm以上の大きさのものではMRAのみでも診断できるからである.だから2−3mm程度の動脈瘤の診断をつけるだけのためにヨード系造影剤を使用する侵襲的な検査は行うべきではないと思う.

そもそも手術を希望していないのであるから今後動脈瘤が大きくなったりしないかどうか経過観察することが重要であって,現時点では脳ドックのガイドラインに従えばそういう結論になるはずなのだが,なぜさらに血管撮影などという非常に侵襲的な検査を患者さんに勧めたのか理解できなかった.

いったい全国でどれだけの患者さんがこのようにして検査を勧められているのかわからないが,これは患者さんにとってというより病院にとってのメリットが優先されているような気がしてならない.患者さんも自分自身のために検査を受ける前にきちんとメリットとデメリットについて説明を受けるべきであろう.

今回はもういちど担当医とよく相談するようにお話して帰っていただいたが,患者さんも脳ドックをとりあえず受けて,とりあえず精査するようなことはやめて,脳ドックを受ける前に異常が見つかった場合のことを考えておいたほうがいいだろう.

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