診断を受ける権利?
2004年5月6日『受精卵に遺伝病がないか調べる受精卵診断を希望する女性患者らが、日本産科婦人科学会を相手取り「学会指針で実施を制限しているのは幸福追求権を定めた憲法に違反する」として、指針の無効確認などを求める訴訟の準備を進めていることが1日、分かった。患者3人と、同学会に無断で男女産み分けの同診断を実施し除名された大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎(おおたに・てつお)院長が原告になる予定。損害賠償も含め5月下旬にも東京地裁に提訴するとしている。訴状の骨子などによると、女性の1人は20代で、夫の染色体異常が原因で3回流産。大谷院長が同学会に受精卵診断の実施を申請したが、4月の除名で不受理になった。残る2人は遺伝病を持つ女性と習慣性流産の女性。同学会は1998年、受精卵診断の順守指針を策定。実施対象を重い遺伝病に限定し、男女産み分けへの利用を禁止、学会の審査承認を受けるよう規定した。
女性らは「学会が承認した例はなく事実上、診断を受ける権利を侵害している」と主張。学会側は「同診断は研究段階で、優生思想につながるとの指摘もある。幸福追求権には、公共の福祉に反しない限り、との制約がある」との見解を明らかにしている。』
原告側の女性の言い分はわからないでもないが,もっとも問題にされるべきなのは学会に無断で男女産み分けの同診断を実施し除名された大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎(おおたに・てつお)院長のやり方であろう.社会のルールができる前に男女産み分けの診断を既成事実化しようとしたことに問題があるのであり,そのような人物が原告になるのでは原告側の女性の言い分の信憑性が疑われるだけであろう.
学会側にもきちんとした受精卵診断の基準を策定して公開する社会的義務があると思われるが,こうした先端医療に関して一般的な診断を受ける権利を主張するのは医学的な常識からは考えられないことだ.そもそも受精卵診断をしても染色体異常のある受精卵だからという理由で勝手に受精卵を廃棄することを認めることはすなわち優生思想そのものである.
法的規制がなければ学会が指針で実施を制限するのはある意味で自制しているのであり,これら指針が無ければ先端医療は無法地帯となることが理解できないのであろうか.先端医療が社会的に認知され標準的な医療になるまでには様々な過程を経る必要があり当然ある程度の時間は要するだろう.自分たちの目先の幸福のためなら他の何かが犠牲になってもかまわないかのような言い方には嫌悪感さえ感じてしまう.
この裁判がどういう経過をたどっていくのか注目してみよう.
女性らは「学会が承認した例はなく事実上、診断を受ける権利を侵害している」と主張。学会側は「同診断は研究段階で、優生思想につながるとの指摘もある。幸福追求権には、公共の福祉に反しない限り、との制約がある」との見解を明らかにしている。』
原告側の女性の言い分はわからないでもないが,もっとも問題にされるべきなのは学会に無断で男女産み分けの同診断を実施し除名された大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎(おおたに・てつお)院長のやり方であろう.社会のルールができる前に男女産み分けの診断を既成事実化しようとしたことに問題があるのであり,そのような人物が原告になるのでは原告側の女性の言い分の信憑性が疑われるだけであろう.
学会側にもきちんとした受精卵診断の基準を策定して公開する社会的義務があると思われるが,こうした先端医療に関して一般的な診断を受ける権利を主張するのは医学的な常識からは考えられないことだ.そもそも受精卵診断をしても染色体異常のある受精卵だからという理由で勝手に受精卵を廃棄することを認めることはすなわち優生思想そのものである.
法的規制がなければ学会が指針で実施を制限するのはある意味で自制しているのであり,これら指針が無ければ先端医療は無法地帯となることが理解できないのであろうか.先端医療が社会的に認知され標準的な医療になるまでには様々な過程を経る必要があり当然ある程度の時間は要するだろう.自分たちの目先の幸福のためなら他の何かが犠牲になってもかまわないかのような言い方には嫌悪感さえ感じてしまう.
この裁判がどういう経過をたどっていくのか注目してみよう.
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