『イラクの日本人人質事件で、15日に解放された高遠菜穂子(たかとお・なほこ)さん(34)、今井紀明(いまい・のりあき)さん(18)、郡山総一郎(こおりやま・そういちろう)さん(32)のカウンセリングに当たった精神科医、斎藤学(さいとう・さとる)・家族機能研究所代表は21日、3人が事件だけでなく、批判的な世論からも強いストレスを受けていることを明らかにした。斎藤代表は帰国直後の18日夜には羽田空港で、翌19日夜には宿泊先の都内のホテルで、3人から長時間詳しい話を聴いた。
 その結果「特に高遠さんは『世間を敵に回している』との思いが強く、精神的に不安定。他の2人も『会見に応じるなら3人で』との意向が強く、人前に出るのが難しい状況だ」と説明。懸念される心的外傷後ストレス障害(PTSD)については「今はまだ急性ストレス障害の段階。今後、PTSDに至るかどうかは、周囲の対応次第だ」としている。斎藤代表は「恐怖体験を多くの人に聞いてもらうことで、事件そのものによるPTSDは回避できる可能性が高い」と指摘。「早期に記者会見をやった方がよい」と勧めたとしている。ただ会見については「問いただすのではなく、最初は穏やかな雰囲気の中、当時の状況について耳を傾ける形にすべきだ」と注文を付けた。斎藤代表によると、3人は米軍の激しい爆撃にさらされる場所に拘禁され、「爆撃で死ぬかもしれない」との恐怖が最も大きかったと訴えた。また、早い段階で「イラク支援に来たことを犯行グループに理解してもらった」と感じたが、その直後にビデオカメラの前でナイフや銃で脅された。突然の事態の急変に「いつ気が変わって殺されるか」とかえって恐怖感が募ったという。拘束直後、1人だけ別の車に乗せられた郡山さんは「自分だけスパイと思われ、殺されるのではないかと思った」と振り返ったという。斎藤代表は「3人は今、世間から隔離されており、これも一種の拘束状態。恐怖の体験がPTSDになってしまう前に、社会復帰させることが重要だ」としている。』

一件落着とまではいってないようだが,結論は出たようだ.
この3人の行動に意見はいろいろあるのだろうが,この3人と同様の行動は病院でも日常よく見られるのである.この3人を患者側に置き換えるとつまりはこういうことだと思う.

この3人は拘束されるまでは患者の家族の立場である.イラクの人々が患者でそれになんらかの救いの手を差し伸べたいという気持ちでいっぱいだったのであろう.だが,拘束されることにより身の危険を実感したとたんに彼らは自らが患者であることに気がついた.そして,現在もきっと患者の心理のままなのであろう.だから世間の目は当然気になるだろう.

彼らの行動は私の感覚で言えば大変無謀でとても私にはまねのできないことだ.少なくとも自分に守るものがある者のとるべき行動ではない.虎穴に入らずんば虎子を得ずともいうが,当然虎に食われる覚悟が必要ということだ.成功し帰還すればそれなりの何かを得られたとは思うのだが不幸にも捕らわれの身となり,世間の晒し者にされたただけというのには同情を禁じえないが,まあ,それが自己責任というものだろう.

また自己責任とはいえ米国に盲従して国連活動以外で勝手に自衛隊を派遣したり,国民年金を勝手に流用するような政治家達に救出費用をうんぬん言われる必要もないだろう.自分がなにもリスクを負わない政治家にイラクで救援活動にあたる人を非難する資格はそもそもないが,渡航を法律で禁止しようとは憲法で保障された自由を侵害するもので,こんなこともわからない政治家にはさっさとやめてもらう必要があるだろう.

ボランティア活動も救援に当たる者が救援される立場になってはじめてその意味がわかったのだろうが,患者の家族も患者になってはじめて本当のつらさがわかるのかと思うと,つくづく人間とは身勝手な生き物である.彼ら3人はせっかく生きて帰れたのだからPTSDを克服して世間の目など気にせずにイラクの人々の救援に日本がしてあげられることを是非世間の人々に伝えてほしいものである.

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