両者の言い分
2004年3月25日『日本医師会の執行部は二十三日、自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会がまとめた「本人が拒否の意思表示をしていない場合は、家族の承諾だけで臓器提供が可能」とする臓器移植法の改正案について「国民的な議論が深まっておらず、時期尚早」などとする否定的見解を示した。ただ、意思表示の有効性の問題などから事実上、臓器提供が認められていない十五歳未満については「本人が拒否の意思を示していない限り、家族の同意だけで提供を可能にすべきだ」とした。また調査会案が、親族への臓器提供を優先できるよう提案していることについて「親族の範囲を決めることは難しい上、公平性の観点からも問題がある」と批判した。調査会案は近く超党派の生命倫理研究議員連盟への提案が予定されており、同議連は議員立法の形で国会への法案提出を目指している。』
以上はどちらかというと臓器移植をやりたい側の意見だろう.
以下は脳死および臓器移植に慎重な意見である.
『日本弁護士連合会(本林徹(もとばやし・とおる)会長)は二十四日、自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会がまとめた「本人が拒否の意思表示をしていない場合は、家族の承諾だけで臓器提供が可能」とする臓器移植法の改正案について「脳死を一律に人の死とせず『自己決定』を尊重する現行法の根幹を否定するもので、認められない」と反対する会長声明を発表した。声明は「社会の大多数が脳死を人の死と受け入れているかどうか検証がないまま提案されている」と改正案を批判。意思表示が十分にできない精神障害者や、どうすべきか悩んでいる人たちがすべて臓器提供を容認したと見なされる危険性を指摘している。
さらに親による児童虐待が増えている中、虐待した親の承諾で臓器が摘出される可能性にも触れ「防止策について十分な議論がなされていない」としている。』
いずれも本人の同意なしでの脳死臓器移植には反対の立場である.では,どこから自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会がまとめた「本人が拒否の意思表示をしていない場合は、家族の承諾だけで臓器提供が可能」とする臓器移植法の改正案が出てくるのであろうか.真相は私にもわからない.だが,脳死臓器移植をさらに進めたい誰かが議員に働きかけているのであろう.当然それは脳死臓器移植によって何らかの利益を得る人たちと考えられる.それは医者か業者か患者いずれなのだろうか.
一般人が自分にあまり関係ないなんて思っていると脳死になったら自分の臓器が勝手に誰かに移植されるということもあるわけだ.これからは脳死臓器移植拒否のドナーカードを携帯しないといけなくなるかも知れない.
上記2つの主張の異なる点について私が気になった点がある.意思表示の有効性の問題などから事実上、臓器提供が認められていない十五歳未満については「本人が拒否の意思を示していない限り、家族の同意だけで提供を可能にすべきだ」とする日本医師会の主張にはやはり原則臓器移植可とする姿勢が見えるし,日弁連の危惧する虐待した親の承諾で臓器が摘出される可能性というのも今のところはそれほど問題ではないような気もするのである.
脳外科医としては,15歳以下いやもっと低年齢の児童の脳死の定義については医学的な議論がまだ不十分だとさえ思うので,法的な側面のみについて触れているような両者の意見はどちらも先走ったもののように見える.もちろん安易に脳死移植をみとめれば自分の子供の臓器を売るような倫理観を持つ親も現れるかも知れず不安である.
最近,産婦人科や小児科の問題が取り沙汰されるほどには社会的に子供を守るという考えが日本には無いような感じがして不安である.そして老人には手厚いのである.確かに高齢者を敬うのはいいことなのであろうが,これからの社会を支えてくれる世代をちゃんと育てないと私たちの将来は悲惨なものになるだろう.
臓器移植をしてでも生きながらえて年金でも受け取るのが夢なんていう老人にはなりたくないものだ.
以上はどちらかというと臓器移植をやりたい側の意見だろう.
以下は脳死および臓器移植に慎重な意見である.
『日本弁護士連合会(本林徹(もとばやし・とおる)会長)は二十四日、自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会がまとめた「本人が拒否の意思表示をしていない場合は、家族の承諾だけで臓器提供が可能」とする臓器移植法の改正案について「脳死を一律に人の死とせず『自己決定』を尊重する現行法の根幹を否定するもので、認められない」と反対する会長声明を発表した。声明は「社会の大多数が脳死を人の死と受け入れているかどうか検証がないまま提案されている」と改正案を批判。意思表示が十分にできない精神障害者や、どうすべきか悩んでいる人たちがすべて臓器提供を容認したと見なされる危険性を指摘している。
さらに親による児童虐待が増えている中、虐待した親の承諾で臓器が摘出される可能性にも触れ「防止策について十分な議論がなされていない」としている。』
いずれも本人の同意なしでの脳死臓器移植には反対の立場である.では,どこから自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会がまとめた「本人が拒否の意思表示をしていない場合は、家族の承諾だけで臓器提供が可能」とする臓器移植法の改正案が出てくるのであろうか.真相は私にもわからない.だが,脳死臓器移植をさらに進めたい誰かが議員に働きかけているのであろう.当然それは脳死臓器移植によって何らかの利益を得る人たちと考えられる.それは医者か業者か患者いずれなのだろうか.
一般人が自分にあまり関係ないなんて思っていると脳死になったら自分の臓器が勝手に誰かに移植されるということもあるわけだ.これからは脳死臓器移植拒否のドナーカードを携帯しないといけなくなるかも知れない.
上記2つの主張の異なる点について私が気になった点がある.意思表示の有効性の問題などから事実上、臓器提供が認められていない十五歳未満については「本人が拒否の意思を示していない限り、家族の同意だけで提供を可能にすべきだ」とする日本医師会の主張にはやはり原則臓器移植可とする姿勢が見えるし,日弁連の危惧する虐待した親の承諾で臓器が摘出される可能性というのも今のところはそれほど問題ではないような気もするのである.
脳外科医としては,15歳以下いやもっと低年齢の児童の脳死の定義については医学的な議論がまだ不十分だとさえ思うので,法的な側面のみについて触れているような両者の意見はどちらも先走ったもののように見える.もちろん安易に脳死移植をみとめれば自分の子供の臓器を売るような倫理観を持つ親も現れるかも知れず不安である.
最近,産婦人科や小児科の問題が取り沙汰されるほどには社会的に子供を守るという考えが日本には無いような感じがして不安である.そして老人には手厚いのである.確かに高齢者を敬うのはいいことなのであろうが,これからの社会を支えてくれる世代をちゃんと育てないと私たちの将来は悲惨なものになるだろう.
臓器移植をしてでも生きながらえて年金でも受け取るのが夢なんていう老人にはなりたくないものだ.
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