『 脳卒中の疑いで入院した長嶋茂雄・アテネ五輪野球日本代表監督(68)(読売巨人軍終身名誉監督)について、東京女子医大病院(東京都新宿区)の主治医が5日正午過ぎに記者会見、「意識は保たれているし、話にも応じている。しかし、左大脳に脳梗塞(こうそく)の症状があり、右半身に軽いマヒがある」「中程度の脳梗塞で、軽いとは言えないが、命に危険を生じる状況ではない」などと病状を説明した。
 会見に出席した同病院脳神経センター神経内科の内山真一郎教授によると、長嶋監督は4日午前に体調不良を訴え、同病院の関連病院で診察を受けた後、同センターに搬送された。コンピューター断層撮影法(CT)などで詳しい検査を行った結果、左大脳に脳梗塞が見つかった。心臓の左心房に血栓ができ、血管を通じ脳に達した脳塞栓症と診断された。
外科的手術の必要はなく、内科的薬物療法で治療する。8月のアテネ五輪で監督を務めることに関し、内山教授は「現時点では病状が不安定で長期的な展望は話せない」と明言を避けたが、「(今後)1、2週間経過を見れば、予測的なことが言えると思う」と、見通しを示した。』

内山真一郎教授は脳神経内科の権威で学会でも脳卒中の治療に積極的かつ大きな影響力をもつオピニオンリーダー的人物である.脳外科医からみるとどちらかというと外科的治療の特殊性を極端に排除する傾向があってあまり好きなタイプではない.だが,診断能力は確かだと思うのでこの記事が正しければ,長嶋監督の病名は心原性塞栓症という脳梗塞の中でも重症化しやすい大変な病気ということになる.

画像を見ていないのでなんともいえないが,左大脳半球ということであれば,右半身の麻痺だけでなく場合によっては失語症などの高次機能障害を生じる可能性もあって予断を許さない状態であろう.治療および再発予防にはワルファリンの投与がガイドラインではグレードAで推奨されている.この薬物は安定して使用するために血液凝固検査が必須であるから,これが投与されているだけで長期の海外渡航には不利である.また,順調にコントロールされても再発のリスクは他の脳梗塞に比べると高い.

順調に回復されることを期待しているが,やっぱり大事をとればアテネ五輪の監督をお願いするのには無理があるだろう.残念だが仕方がない.

長嶋監督の話ではないが,非弁膜症性といわれる心房細動などの不整脈によるものが近年増加していることが以前から指摘されており,不整脈の原因として仕事のストレスなども指摘されている.日頃からストレスが多く,時々動悸や胸部の不快感がある人は一度循環器内科で相談してみたほうがいいだろう.

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索