誤診?

2004年2月20日
『大阪府枚方市の枚方市民病院は、脳腫瘍(しゅよう)を脳梗塞(こうそく)と誤診して治療開始が遅れたとして、同市の無職男性(69)に謝罪、示談金三百万円を支払って裁判外で和解していたことが、二十日分かった。
 同病院などによると、男性は物が二重に見える症状を訴えて二〇〇〇年九月と〇一年一月、同病院で頭部の精密検査を受け、脳梗塞と診断された。〇二年二月と三月の検査では脳腫瘍が認められたため、〇二年四月、京都府の病院で後頭部左右の腫瘍を摘出する手術を受けた。
 男性はその後、枚方市民病院の誤診で治療が遅れたとして損害賠償を市に求め、〇二年九月、病院が医療過誤を認めて男性に謝罪。昨年十二月、示談金支払いで和解した。』

このような話を聞いてまず思うのは,初診の病院で診断できるものであったかどうかということである.別に初診の病院の弁護をする気はないが,脳梗塞と脳腫瘍は場合によっては初期の診断が難しいことはまれにある.複数の脳外科専門医が見て診断がつかなければそれをその時点で誤診とはいえないと思う.

だが,問題が起こるのは次の病院にかかった時である.脳腫瘍のような進行性の病気は後から診るほうが診断しやすいのは当たり前なのである.この場合は脳腫瘍を脳梗塞と診断してしまったので後から誤診とわかり問題となったのだろう.

では,脳梗塞を脳腫瘍と誤診してしまったらどうだろうか.手術をして脳梗塞の部分を摘出してもあまり問題が出るとは考えにくい.手術中に脳梗塞だとわかったらそこで手術は終了である.手術後進行性に病状が悪化することがなければ問題とならない.

さて,考えてもらいたい.脳腫瘍か脳梗塞か診断がつかない時に脳外科医は手術をするべきか経過観察をするべきか.

私は,画像で診断がつかないと正直に患者さんに話すのがいちばんいいのではないかと思う.その上で経過をみるか一部を手術でとって調べるかを選択してもらうのである.

経過をみるということが理解されなければこういった話も成り立たない.経過をみているうちに内緒で他の病院にかかり,実は脳梗塞だったのに摘出手術を受けて治ったつもりになっている患者さんというのは今の日本には本当にいないのだろうか.

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