『米下院政府改革委員会は十七日、米国で昨年末に初めて見つかった牛海綿状脳症(BSE)感染牛が農務省の発表とは異なり、正常に歩けない「へたり牛」ではなかった可能性がある、とする書簡をベネマン農務長官に送付した。
 書簡は「BSE監視体制の妥当性と農務省への信頼性に深刻な影響が生じる」と懸念を表明、少なくともへたり牛については全頭検査することなど、検査体制の拡充を求めた。
 農務省はワシントン州で見つかった感染牛について「へたり牛の症状が見られたため検査し、発見した」と説明した。
 しかし書簡によると、運送会社や処理場の複数の関係者が「問題の牛はへたり牛ではなかった」と証言。また、この処理場では通常、牛の健康状態に関係なくBSEのサンプル検査を実施していた。さらに、処理場関係者が今年一月に、このことを農務省に連絡したにもかかわらず、同省は公表しなかったという。
 委員会は三月二日までに、感染牛に関するBSE検査資料などを提供するよう求めた。』

へたり牛という言葉はちょっと面白かった.だが,米国の農務省にも日本のお役所のような事実隠しの体質があるらしいことがわかり米国不信が加速しそうだ.

ひょっとすると米国の農務省は日本のお役所からこの手を学んだのかも知れない.なんてったって同盟国だから.

それにしても吉野家に連日つめかけた人々はなんだったのだろうか,売り上げは2倍以上だったらしいから商売替えする資金もできたことだろう.

『『Lancet』に掲載された動物実験において、フランス原子力庁のCorinne Lasmezas氏らが、マカクサルにBSE病原体を含んだ組織を経口や経静脈で曝露させ、組織感染力の強さについて比較している。異常な折り畳みをしたプリオン蛋白質をマーカーとして用いたところ、臓器感染力は新入経路に関係なく同程度であり、扁桃組織がもっとも感染力が強いことが判った。脳脊髄で予想通りの濃度のプリオン蛋白質が見られたのに加えて、自律神経系、末梢神経系、腸間のパイエル板にもプリオン蛋白質が見られたことから、内視鏡手技に伝播リスクが伴う可能性が浮かび上がった。』

要するに霊長類では食べても感染するし,内視鏡検査でも感染の危険性があるということだ.

さて,へたり牛でない牛が感染していて吉野家で食べた牛肉で感染した人が献血したり,内視鏡検査をすることで今後どれぐらいの感染が起きるのだろうか.それは,今後の歴史が証明するのだろうが,人間の場合はHIVでさえ全頭検査のようなことはプライバシーの侵害とかでできない.だからこそ献血時に検査してもらおうなどという不埒なやからがいるのだろうが,これがBSEにもなるとどういうことになるのだろうか.

厚生労働省はやっと輸血後肝炎の実態調査をはじめたようだが,HIVやBSEもある程度感染がひろまってから調査するつもりなのだろうか.乾燥ヒト硬膜を使ってCJDになった患者さんが見つかったときは大騒ぎしてたのになあ.

医療従事者としてはHIVは同意書をもらって検査すればまだなんとかなりそうだが,BSEからの自衛策はどうすればよいのだろうか.まさか病歴をとるときに吉野家でよく牛丼を食べていましたか,なんて聞いてみてもだめだろうなあ.

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