今夜も当直。やっぱり年取ったせいか当直は疲れるなとか思っていたら、救急隊指令から電話が来た。第一報ってやつだが『○○○○という2年ぐらい前にそちらで手術した女性で、住所時は○○○○で....』延々と続きそうなので、話をさえぎってどうしたのか聞くと『近所の人が様子を見に行ったら意識がもうろうとしてたそうなんですけどそちらへ運んでいいですか』と聞いてきた。

そんな名前聞いたことあるかも知れないが覚えてるわけない。外来患者は月1000人は来てるぞ。私の場合、患者さんは名前ではなくその患者さんの脳の画像とリンクしているのである。

意識はもうろうとして?でバイタルサインは?JCSは何点?会話はできるの?麻痺はあるの?と立て続けに聞いてもよかったのだが、最初のバイタルは?で『バイタルは今連絡を待っています。』との返事でそれ以外の情報は無い。

思わず電話を切りそうになったが、プロだから我慢我慢。もっと詳しい情報をくれるよう話した。

『また、情報が入ったら連絡します。』といって電話がきたのは10分後、病院搬入はそれからさらに20分後。

カルテを見たらすぐに怠薬でけいれん発作を起こした既往歴のある脳腫瘍術後の患者さんで、今回も痙攣発作後の意識障害とToddの麻痺があったのであった。入院経過観察となり一件落着。

いまでも周辺町村の救急隊はこのレベル。こんなとこでも救命救急士がもっと配置されれば少しはましになるのだろうか?

その昔、救急部の助手だったころ消防学校の救命救急の講義に行った時に意識障害の原因と鑑別についての話はテキストにあったはずだからこの救急隊指令はあきらかにおそまつなのだ。

大都市ではだいぶんましになるのだが、ここにも都市と地方の医療格差は存在しているのだ。

まあ、地方の個人開業医や自治体の診療所のレベルも私の基準で考えるとかなり低いので救急隊ばかりの問題ではない。

ここにさらに格差を広げようとしているのが介護保険なのであるから、地方はもうお手上げ状態だ。

そう考えると周辺町村の住民と救急隊にも同情したくもなる。当直でこういうことがあるとさらに疲れるのだが今夜の当直もまだまだ続くのであった。

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