考えられるミスはすべて起こる
2004年2月2日『東京医科大学病院(東京都新宿区)は2日、先月31日に60代の女性患者にカテーテルを挿入した際、誤って動脈を傷つけて大量出血し、一時心臓停止に陥る医療ミスがあったと発表した。患者は一命は取り留めたが、意識が十分に回復していない。病院側は家族に謝罪するとともに厚生労働省と東京都に届け出た。同病院では昨年11月、3件の医療事故が相次いで発覚している。
病院側によると、患者は肝硬変で肝臓がんの疑いがあり、点滴治療などのため内科医が右鎖骨の下からカテーテルを挿入するための針(太さ1・65ミリ)を刺した際、動脈を傷つけて出血。100〜200CCの血が気管を圧迫して呼吸困難となり、一時心停止した。気管切開などで蘇生したが、現在は呼びかけにわずかに反応する程度だという。
内科医は卒業後10年目で同じ針の挿入経験は豊富だという。』
IVHカテーテルの挿入は沢山やっていれば誰でも動脈に刺したり,気胸を起こした経験はあるはずで,これを恐れていたら仕事にならない.
脳外科ではさらに危険な脳血管撮影という検査や血管内手術という治療まであり避けて通ることはできない.
しかるに最近の風潮は確率的に当然起こりうるミスであっても,その結果が悪いと刑事処分されるということである.この報道も一般の人が読むと経験豊富な医師がつい油断してミスをしたかのよう思われるかもしれない.
だが,実際には穿刺した針の先がどこに行っているかを目で見て確かめることはできない手技なのである.つまり勘と経験と指先の感覚が頼りの職人技なのだ.だから当然ミスもありうる手技なのだということが一般人には理解できないだろう.
良い医師は病気の人を助けるために最善を尽くす努力を常にしているものだ.それがもちろん前提である.しかし,最善をつくしたつもりが裏目に出たときに逮捕されるのでは医師はまったく報われない仕事となる.
こういった点にも気をつけながら医療事故というものについて一般の方々に考えていただきたい.
病院側によると、患者は肝硬変で肝臓がんの疑いがあり、点滴治療などのため内科医が右鎖骨の下からカテーテルを挿入するための針(太さ1・65ミリ)を刺した際、動脈を傷つけて出血。100〜200CCの血が気管を圧迫して呼吸困難となり、一時心停止した。気管切開などで蘇生したが、現在は呼びかけにわずかに反応する程度だという。
内科医は卒業後10年目で同じ針の挿入経験は豊富だという。』
IVHカテーテルの挿入は沢山やっていれば誰でも動脈に刺したり,気胸を起こした経験はあるはずで,これを恐れていたら仕事にならない.
脳外科ではさらに危険な脳血管撮影という検査や血管内手術という治療まであり避けて通ることはできない.
しかるに最近の風潮は確率的に当然起こりうるミスであっても,その結果が悪いと刑事処分されるということである.この報道も一般の人が読むと経験豊富な医師がつい油断してミスをしたかのよう思われるかもしれない.
だが,実際には穿刺した針の先がどこに行っているかを目で見て確かめることはできない手技なのである.つまり勘と経験と指先の感覚が頼りの職人技なのだ.だから当然ミスもありうる手技なのだということが一般人には理解できないだろう.
良い医師は病気の人を助けるために最善を尽くす努力を常にしているものだ.それがもちろん前提である.しかし,最善をつくしたつもりが裏目に出たときに逮捕されるのでは医師はまったく報われない仕事となる.
こういった点にも気をつけながら医療事故というものについて一般の方々に考えていただきたい.
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